金沢~飛騨高山~美濃~名古屋 料理、酒、器の旅
この度、休暇を取って、金沢~飛騨高山~美濃~名古屋と、料理、酒、器の旅を家族としてきました。
京都駅で新幹線から特急に乗り換え。いづうの鯖寿司を調達。
福井まで列車で移動、そこから名古屋まではレンタカーで移動。
福井駅前は、ちょっと前にブラタモリで見た恐竜一色。
日本有数の化石出土地帯のようです。
リアルに動いている恐竜が駅周辺で楽しめます。
東尋坊に立ち寄り、高所恐怖症ですが、一応崖っぷちは覗いてみました。
真後ろで大声出され、更に足がすくみましたね。
その後は、山代温泉のあらや滔々庵へ。
料亭を思わせる佇まいです。魯山人ゆかりの宿との事で、魯山人の器、書が多く所蔵されています。滞在時に多くの書を書かれたそうで、館内は美術館状態。見ごたえがあります。
こちらに訪れたのは、ホスピタリティと、料理が目的です。
老舗旅館ですが、おもてなしの対応、心遣いは、決して高級な感じではなく、居心地よくさせてくれます。子連れにもかかわらず、楽しませていただきありがとうございました。
さて、楽しみな料理。奇をてらうことなく、オーソドックスですが、季節の食材を丁寧に料理されて確実に完成度高い。うつわもとてもセンス良く、料理共に楽しめます。私も目指すところです。
お酒は、石川県内のいいところ抑えています。酒器はナント明日伺うカネコ小兵さんの片口。うれしいですね。もちろん、明日伺う菊姫もあります。
末っ子が椅子に座り続ける事が難しいため、無理を言ってお座敷を準備していただきました。そのお部屋に入ってびっくり。立派な書、襖があり、とても質が高い部屋でした。
お聞きしたところ、有栖川宮 熾仁親王が来られた際に書かれた書で、「江山清趣」とは山代温泉の土地を唄ったようです。この書にある「山」、白山は日本三大霊峰のひとつで、今回の旅のいろいろな場所で、白山の話が出てきました。
翌日、新穂高ロープウェイから臨んだ白山は、霊峰のオーラを放っていました。
襖絵は、現代作家眞壁 陸二さんの作品のようです。
この宿は烏の湯、玄関の魯山人の八咫烏の衝立、この襖絵にも八咫烏が描かれています。食事のあとは、この宿を訪れる大きな目的のひとつ「有栖川山荘」へ。
本館から夜の雰囲気のある外通路を通って、静寂に包まれた館内へ。
雰囲気抜群です。
いいです。ここ。和モダンの雰囲気。上質です。
また訪れたい宿に出会えました。
一晩明けて、大ファンの菊姫酒造へ。
どっしりとした安定した酒質の菊姫。造りは完全に終わって醪は全くないとの事ですが、どんな造りをしているか伺うのが楽しみです。
金沢市に近い場所にあります。
この付近の蔵に以前来たのは能登四天王 農口尚彦杜氏の「常きげん」以来です。
まずついて驚いたのは、何キロか離れたとことからも見えた、醸造ビル。
でかいです。蔵の周りを眺めたら、更に奥の遠方にも醸造ビルらしきものの。
さっそく、昔ながらの囲炉裏端の応接に通され、柳社長から手慣れた感じでお茶を入れていただいた。足は年中裸足、手足の指のたくさんの怪我に絆創膏が巻いてあります。
なんだ、このひとは?
近辺の歴史の流れ、家業の移り変わりなど伺いました。中学校の頃、自分でバラを育て、祖父からお前の作るバラはきれいで香りがええのうと褒められたそうです。
現在、蔵に隣接する広い敷地で、工事されているみたいでしたが、ご自分でバラ園を作っているそうです。その他にも日本刀の鍛冶場も作ろうとしているとの事。
お茶を入れていただいた時の火元の炭も、自分の炭焼き小屋で作っているとの事。
ただものではない。
蔵は醸造長に案内していただきました。
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信念を持ったポイントがいくらかありました。
・マイスター制度
蔵では杜氏と頂点とするピラミッドではなく、マイスター制度を取り入れているとの事。酒造りを杜氏が変わったら酒質が変わるのではなく、酒造りの勘を分析、データ化、会社のノウハウとして蓄積。
酒造りは神秘でもなく、微生物が作り出す科学的で物理的な現象と認識。
年によって味の違いがあるのは技術の無さと認識、安定の味を突き詰めています。
・原料米をほぼ兵庫産特A地区山田錦を使用
純米酒レベルからほぼ100%山田錦でも最高峰の兵庫産特A地区のものを使用。
こんな蔵見たことありません。
大きな理由として、他の米では長期熟成に耐えられないとの事。
菊姫の多くは1年以上熟成して蔵から出されます。
蔵に長いこと置いておくのは、費用も掛かることです。
・圧倒的な設備の充実
訪れた3月中旬は多くの蔵では酒造りはまだ行っています。
菊姫では完全に終わっていました。
暖かい雑菌の多い時期の酒造りは蔵を冷蔵しても外部の雑菌の量は寒い時期に比べて比べ物になりません。
菊姫では明治蔵、昭和蔵、平成蔵とそれぞれに蒸し、麹室、醪タンク、搾り機器を持っています。中でも驚いたのが、一般的な蔵よりも醪のタンクが少量ステンレス製のサーマルタンクの数の多さ。小さいタンクで温度制御を細かくし品質を確保、数で生産量を稼ぐ贅沢なやりかたです。
更に自社で精米を行い、精米機を8基持っています。
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こういったポリシー、積み重ねがあって菊姫の酒質の高さがあるのだと認識しました。
醪がない蔵見学に行って、これほど話を聞かせていただき、来た甲斐があったと感動するのは初めてでした。蔵訪問というのは、作り方でなく、蔵の理念を聞いて感じる事だということを実感しました。本当に伺ってよかった。
広島に帰って菊姫の酒のラインナップをひとつづつ、伺ったお話を見直して、理解します。
さて、蔵を出て飛騨高山方面へ。
高速道路から臨む雪山はちょっとビビるものがあります。
この晩は料理旅館 饗家で郷土料理をいただきながら、ご主人のおすすめ、岐阜の銘酒 小左衛門(大好きで蔵訪問も過去したことがあります)の限定酒をいただきました。
翌日は、新穂高ロープウェイで雪山の圧倒さに感動し、
長距離を移動、岐阜の美濃では、料理研鑽会「喜志会」のイベントでもお世話になったカネコ小兵製陶所さんへご挨拶、社長御夫妻、小平工場長(この方、写真撮るとき必ず変顔します)と短時間でしたが、話をして、店舗で使う器を選んで帰りました。石まつ三代目、小石sakebarでは小兵さんの食器、酒器はいろいろ使わせていただいています。素敵な器ばかりです。
こちらの窯元は、広島、全国のインテリアショップに必ず置いてあるくらいの皆さん見かけたことのある器を作られています。
一路名古屋へ。
かねてから行きたかった、かたくち屋さんへ。
素敵な片口、猪口をたくさん買って帰りました。
小石sakebarでお楽しみいただけます。
夕食は、名古屋で広島酒を愛していただいている桜びよりさんへ。
以前、馳走和醸 すぎさんら名古屋の飲食店御一行と来広されて時に、小石sakebarにいらしていただいており、一度お邪魔させていただきたかったお店です。
平日にもかかわらず、超満員の人気店です。おいしいお料理、お酒を満喫し、最終新幹線で広島に帰りました。
超つめつめスケジュールな旅でした~。